ランニング中に起きやすい身体の変化とトラブル(熱中症・脱水症状・低体温症など)
2017.05.10(最終更新:2023.08.22)
長時間走っているとトラブルは自分の身体からもおきます。代表的なトラブルといえば、熱中症、脱水症状、低体温症です。身体のメカニズムと原因を知った上で、しっかりと対策を講じましょう。
「発汗」という身体のメカニズム
私たち人間の体の60%〜70%は水分で出来ています。運動することで体内の温度が上昇し、それを抑えるために発汗が促されます。汗は“打ち水”のような効果を持ち、蒸発するときに気化熱を奪うことで、体温を下げる働きがあります。汗は体にとって不可欠な存在である一方で、水分が体から失われると、体にはさまざまなトラブルが生じてきます。
下記のように水分が奪われていくと身体には様々な変化が現れてくるので、身体のトラブルを防ぐには栄養補給とともに水分補給はとても大切な要素です。
・体重の1~2%が失われた場合 のどが渇く、尿量の減少、パフォーマンス低下 |
・体重の3~5%失われた場合 倦怠感、頭痛、めまい、嘔吐、立ちくらみ、食欲低下 |
・体重の5~9%失われた場合 血圧・臓器血流低下 |
・体重の10%以上失われた場合 昏睡・心・腎・呼吸不全、最悪の場合死に至る |
高温多湿な環境でおきる「熱中症」
<原因と症状>
梅雨時や夏場など高温多湿な環境で走ると熱中症を起こす可能性があります。以下のような症状が出てきたら要注意です!
- 【症状1】めまいや顔のほてり
- 【症状2】筋肉痛や筋肉のけいれん
- 【症状3】体のだるさや吐き気
- 【症状4】汗のかきかたがおかしい
- 【症状5】体温が高い、皮ふを触ると熱い
- 【症状6】呼びかけに反応しない、まっすぐ歩けない
- 【症状7】水分補給ができない
<対処法>
予防対策として、水分と塩分をこまめに取ることは必須条件ですが、日頃から適度な運動、適切な食事、十分な睡眠も大切な要素です。
走っていて熱中症になった場合、以下の3つの対処法が有効です。
対処法1:安静にする
風通りの良い涼しい場所(日陰)へ移動して安静にする
対処法2:体を冷やす
氷枕や保冷剤で両側の首筋やわき、足の付け根などを冷やしたり、皮膚に水をかけて、うちわや扇子などであおぐことで体を冷やす
対処法3:塩分や水分を補給
ただし、おう吐の症状が出ていたり意識がない場合は、むりやり水分を飲ませてはダメ
水分や電解質を補給しないと陥る「脱水症状」
<原因と症状>
走りやすい春先や秋、ハイシーズンの冬でも、失われた水分・電解質を適切に補給せずにいると脱水状態に陥ってしまいます。筋肉のけいれん、疲労や倦怠感、頭痛、めまい、吐き気と体調の変化があらわれたら、脱水症状のサインだと思ってください。
<対処法>
予防対策として、水分と塩分をこまめに取ることは必須条件ですが、日頃から適度な運動、適切な食事、十分な睡眠も大切な要素です。
走っていて熱中症になった場合、以下の3つの対処法が有効です。
冬場に起こりやすい「低体温症」
<原因と症状>
夏に気をつけるのが熱中症だとすると、冬場に起こりやすいのが低体温症です。 表皮温度ではなく体の内側の温度が35℃以下になる状態のことを指します。
身体が温まっていないからなる症状ではありません、プロやセミプロのようなハードワークをするランナーであっても寒すぎる環境で走ると低体温症になります。
ランナーが低体温症になるには「大量の汗をかいている」「雨や雪が降っている」「薄手のウェアを着ている」「気温が非常に低い状態にある」というようなケースがあります。
- 【軽度】35〜33°C
- 【中度】33〜30°C
- 【重度】30〜25°C
- 【重篤】25〜20°C
- 【非常に重篤】20°C以下
<対処法>
マラソンやランニング中に低体温症にならないために気をつけたいことを4つのポイントがあります。
・スタート時
できるだけ肌の露出は避け、ビニールポンチョや薄手のウインドブレーカーなどで体を冷やさないようにしましょう。
・水分補給
最も大切なことですが、もしも体が震えるようなら、体内から温める必要があるので、温かい飲み物を飲みましょう
・装備
撥水性の高いグローブや靴下、そしてインナーウェアを有効に使い、体の表面が濡れた状態にならないように心掛けてください。
・症状が現れた場合
意識が朦朧としたり、走っているのに体の震えが止まらなかったりなど、体が温まらないときはリタイアすることも大切なことです。
まとめ
マラソンは屋外スポーツであり長時間外気にさらされる競技です。普段の生活と違う環境に身をおくのでトラブルが起きないとは言い切れません。 自分の体に起きる症状を理解して、事前の予防と対策をおこないましょう。