サブ4達成のための効率的なトレーニング

サブ4達成のための効率的なトレーニング

サブ4達成のための効率的なトレーニング

2018.06.01(最終更新:2023.08.22)

マラソンを始めた人の完走から次の目標とされ、”一人前のランナーとしての勲章”と呼ばれる「サブ4」。
その効率的なトレーニング方法や食事の工夫などをお伝えします。

 

 

ランニングトレーニングの種類

マラソンのような長距離走にも様々なトレーニングがあります。陸上部ではなかった人にとっては、知らないことが多いトレーニング方法をご紹介します。

<ペース走>

長距離走は決めたペースを保つ「ペース走」と言われます。距離と目標タイムから5km毎などペースを換算し、さらに細かく1km毎にペースを定めます。スタートからゴールまで同じペースで走り切る「イーブンペース」だと、サブ4達成は28分26秒/5kmがそれに当たります。普段の練習でも、常にペースを意識した走りを心がけることはサブ4達成には不可欠です。

<インターバル走>

速く走ったり、ゆっくり走ったりなどスピードの緩急をつける練習で、スピードアップや心肺機能の向上などが期待出来るとされています。一方で、身体への負荷が高いため、疲れの回復に時間がかかることから、過度な導入は故障を誘発させることもありますので、やりすぎには注意が必要です。

<スピード練習>

普段走るペースよりも速めのスピードで走る練習で、速筋や心肺機能に刺激を入れ、強化することが目的とされます。練習の最後に30秒ほど気持ち良くスピードを上げて終わるような取り入れる人もいます。インターバル走も代表的なスピードトレーニングです。

<ロング走>

長い距離に耐えられる身体作り・脚作りを目的とした練習で、レースよりやや遅く、ジョグより速いペースで走ります。フルマラソンを想定した場合、30km程度の長い距離を指します。

<ポイント練習>

「インターバル走」や「タイムトライアル」など心肺機能を高める練習です。記録を更新するための練習として行われる場合が多く、体への負荷が高いため、毎日行うものではないとされます。頻度としては、週2回程度までとすることが一般的。また、脚が疲れている状態でポイント練習を行うと、怪我のリスクが上がると言われているため、やりすぎには注意が必要です。

<セット練習>

休日や週末などに2日続けて負荷の高い練習を行う練習方法です。例えば、1日目に高負荷な練習をし、回復途中の重くなった状態になった2日目の練習で、短時間で集中した練習を行うパターンがあります。足取りが鈍るレース後半の疑似体験として取り入れる人もいます。

<LSD>

「Long=長く、Slow=ゆっくり、Distance=距離」の頭文字をとった練習方法です。一定のスローペースを保って長時間走ることで「筋持久力」と「心肺能力」を同時にアップすることを目的とし、“フルマラソンの30kmの壁”を超えるトレーニング方法として有効とされています。

<トレッドミル走>

スポーツジムなど、屋内でランニングやウォーキングを行うための健康器具で、ベルトコンベア状の踏み台をモーターの力で動かし、速度が調節できるようになっています。決めたペースを走り続ける練習や夏場の暑さ対策や悪天候などで屋外を走れないときなどに活用されます。

 

季節別のトレーニング方法


マラソンのハイシーズンは秋から冬です。サブ4を目指すランナーにとって季節別にトレーニング方法が変わってきます。


夏のトレーニング

一般的に土台作りのシーズンとされます。そのため、しっかりと走り込みたい時期でもありますが、「暑さ」は大敵で、距離にこだわりすぎない心構えが大事になります。


  • 日差しを避けて身体的な負担の少ない早朝か日没後に走る。
  • 比較的気温が低めで、直射日光が避けられる雨の日に走る。
  • 街に比べて涼しい山を歩く。アップダウンを歩くことで筋力アップが狙える。
  • 坂道ダッシュなど短時間で負荷の高いトレーニングを行う。
  • 涼しい室内でトレッドミルを使ったトレーニングを行う。

熱中症、脱水症状、倦怠感など夏だからこそ気をつけたい暑さ対策として、水分や塩分の摂取と適切な食事や十分な睡眠も大切な要素です。そして何より無理をしないことを意識してください。


秋のトレーニング

秋は、スポーツの秋と言われるほど気候的に運動しやすい季節です。夏場に量をこなせない時は、この秋に集中して走りこむランナーも多く、量と質のバランスを意識しながら取り組むことを心がけたい季節です。

  • 「量」を意識したトレーニング方法:ペース走、ロング走、LSDなど
  • 「質」を意識したトレーニング方法:インターバル走、ポイント練習、セット練習

ただし、注意点もあります。夏は暑さでペースが落ちたり、走る量も落ちてしまうランナーもいて、秋で一気に取り返そうとオーバートレーニングをしてしまいがちです。質と量を両方追い求めた結果、疲労が蓄積して怪我をしてしまうこともあります。

 

冬のトレーニング

多くの大会が集中する冬場は、シーズン本番でもあり、仕上げの時期となります。厳しい寒さから屋外でのトレーニングに身が入らないランナーもいますが、冬は夏に比べて、長距離を走っても心拍数は低く抑えられるため、長時間走っていられるメリットもあります。ペース走、ロング走、LSDなどがいいでしょう。一方で、調整段階の時期でもあるので、インターバル走、ポイント練習など質の高い練習を取り入れ、食事や睡眠をしっかり取るなど身体のケアも十分意識したいところです。

 

食事を工夫する

走力アップには筋力や心肺機能の向上が不可欠ですが、身体そのものを作るのは食事です。マラソンに限らずどの競技にも共通していることですが、「◯◯さえ食べればいい」とか「◯◯は一切食べないようにした方がいい」という食べ物はありませんが、項目別に列記してみます。


<バランスの良い食事>

五大栄養素といわれる炭水化物・たんぱく質・脂質・ビタミン・ミネラル(カルシウムやマグネシウム、鉄など)をバランスよく摂取することは、身体の土台を作る意味でも大切です。

<疲労回復>

練習後の疲労を回復させるために必要な栄養素はタンパク質です。特に高負荷なトレーニング後には良質な高タンパク食を摂取すると、損傷した筋肉の回復を促すと言われています。肉や魚・卵・大豆・乳製品などを意識してみましょう。

<貧血対策>

ランニングは、赤血球が運ぶ酸素を介してエネルギー代謝を行う運動であり、その赤血球の本体であるヘモグロビンの濃度が基準値を下回った状態が貧血です。 月経がある女性には理解しやすいですが、ランナーは着地のたびに足裏を走る毛細血管で赤血球を壊す「溶血」を起こし、汗とともに鉄を失うという特徴があり、男性も含めて鉄欠乏性貧血のランナーが多いのも事実です。

そこで、貧血対策として鉄分の摂取が大切になります。鉄分は体に吸収されやすいヘム鉄と非ヘム鉄があり、ヘム鉄は牛肉の赤身やレバー・マグロなどの動物性食品に、非ヘム鉄は海藻や大豆、緑黄色野菜などの植物性食品に多く含まれています。

<大会直前の食事>

大会が近づくとナーバスになるランナーも多く、不安感からあれこれ手を出してしまいがちですが、特別な食事をとるのではなく、普段から食べ慣れたものを食べるようにすると良いでしょう。つまり、新しいことをしないことです。

また、直前になって風邪をひいたりしないように、ビタミンAやビタミンCを積極的に摂って、免疫力を高めることを意識すると良いでしょう。そして、疲労回復に努めることが重要で、高タンパクな食事や代謝を促すビタミンB1を含む食品を摂りましょう。

<大会当日の食事>

マラソンのような長距離走は脂肪を燃焼させる有酸素運動です。その脂肪を燃やす着火剤の役目を担うのが糖質とされ、おにぎり、羊羹、ゼリー類、バナナなどを食べるランナーが多いです。

一方で、たんぱく質や脂質は消化に時間がかかり、胃腸に余計な負担をかけることになるため、肉や魚・卵を使った料理は控えめにし、また、食物繊維は便意を促進すると言われるため、レース前は控えた方が良いとされています。

 

その他の練習方法

マラソンは個人スポーツでもあり、普段のトレーニングも一人でするランナーが多いかもしれませんが、客観性が失われてしまうマイナス面があります。そこで、その対策案です。

<練習会に参加する>

ランニングステーションやランニングクラブが主催するレベル別や距離別、メニュー別など、様々な練習会があります。同じ目的を持ったランナーが集まることから仲間意識と刺激を受けることもあり、積極的に参加してみると発見があるかも!

<ランニングチームに入る>

初心者歓迎のランニングクラブがいろんなところにあります。会社の先輩や後輩で走っている人がいるかもしれません。「ランニングクラブ」などで検索すると様々なコミュニティがあるので近所で探してみても良いかもしれません。

チームに入るメリットは、サブ4のノウハウを得られること。そして何より、共通の趣味・目的を持った人と確実に出会えることで、ランニングライフを楽しく続けることにもつながります。

<コーチに教わる>

市民ランナーに向けたマラソンを専門にしているコーチがいます。専門家だけあって知識と経験は豊富で、客観的な目線で適切なアドバイスを受けられることでしょう。最初はハードルが高く感じられるかもしれませんが、自己流で走ってきた人は試してみる価値はあるかもしれません。

サブ4達成のための日々のトレーニング方法や食事の知識は、インターネットや雑誌などで取り上げられていることも多く、情報入手することは難しくありません。

一方で、フォームなどの技術面の向上も重要な要素ながら、自分の走る姿を確認するのは難しく、そのフォームが正しいのかどうか知識不足な面もあります。そこで必要なのは「他人の目」です。専門的で客観的にアドバイスを得られる環境作りもサブ4達成の一つです。

 

まとめ

”一人前のランナーとしての勲章”と呼ばれる「サブ4」。そのためには適切なトレーニングと正しい知識、そして自分マネージメントという環境作り・準備が欠かせません。その過程も試行錯誤しながら楽しみ、サブ4を達成した時の喜びと達成感はまさに”勲章”のごとき輝きを与えてくれることでしょう。